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化粧品の規制について~入門編:薬機法と景品表示について~

基礎知識 事業計画

第三回目となる今回は「化粧品」という枠組みを定めている2大規制、薬機法と景品表示法についてお話をしてゆきます。

薬機法と景品表示法、このページを読まれている方なら誰しも一度は耳にしたことがあることと思いますが、あまりにも複雑過ぎて理解するのは難しいですよね。当コラムは化粧品に関する規制の入門編として、なるべく平易な言葉を使用しわかりやすく解説してゆくことを目的としています。なるべく簡潔に説明してゆくよう努めてゆきますので、少しお付き合いください。

薬機法とは?

薬機法とは、本来は薬の法律です。なぜ化粧品の規制に係わっているのでしょうか? 薬機法を理解するためには、まず薬機法という制度ができる前の社会を想像してみてください。

薬機法のはじまり

時は明治初期頃にまで遡ります。
当時、社会には有象無象の民間薬が溢れています。その数は実に数十万とも言われています。
ですが規制が無いので誰一人として民間薬の効果を測る尺度を持っていません。ゆえに民間伝承で伝わる動植物などが主体であり、中には効果があるものもありますが、殆どが眉唾ものです。
効かない民間薬を服用し、症状が改善せず、時には症状を悪化させてしまうことすらままありました。
そのため、本当に効果があるものだけを「薬」とするために薬機法(実際には薬機法の前身ですが、ここでは薬機法と呼びます)が発足しました。

薬機法を定めるにあたっては困難を極めます。
なぜなら、例えば肌を潤す薬、今で言えば化粧水のようなものも民間薬の中には存在していたためです。

肌を潤す効果はある。しかし、それを「薬」と呼ぶべきだろうかという議論が発生します。
効果があるものだけを「薬」とするという規制だけでは不十分でした。
そのため、民間薬をさらに細かく分類し、体に大きな作用を及ぼすもの、中くらいの作用を及ぼすもの、緩和な作用を及ぼすものの3段階に分けることにしました。ここで分けられた大きな作用を及ぼすものが「薬」、中くらいの作用のものが「医薬部外品」、緩和な作用のものが「化粧品」です。

途中経過をかなり省略してご案内しましたが、これが薬機法が「薬」の法律なのにもかかわらず「医薬部外品」や「化粧品」を管轄下に納めている大筋の理由です。

薬機法が化粧品に求めること

こういった背景でできた規制ですので薬機法が「化粧品」に定めていることの根幹はたった2つです。

1、「化粧品」は「医薬部外品」や「医薬品」とは明確に異なるものであるということ

2、「化粧品」の効果は緩和でなければならないこと

薬機法は非常に幅広く多くの規則がありますが、その殆どはこの二つの根幹を守らせるための規制です。突き詰めてゆくと簡単ですね。
なお、作用が緩和であることとは、具体的には医品等適正広告基準における56の効能効果の範囲内であることとされています。
東京都福祉保健局:化粧品の効能効果の範囲について
この範囲を超え、大きな効能効果がある場合には医薬品や医薬部外品の無許可販売になりかねませんのでご注意ください。

景品表示法が化粧品に求めること

次に景品表示法についてです。
景品表示法は商売において不当に利益をあげることを禁じる規制で、これも化粧品の範囲に絞り突き詰めてゆけば、そう難しいものではありません。

1、商品を実態以上に良く見せてはならない(嘘をついてはいけない)

もちろん、実際にはもっとたくさんの奥ゆきがあり難解ですが、景品表示法の根幹は以上であり、それほど難しいものではありません。

薬機法と景品表示法の相乗作用

難しいと言われている薬機法と景品表示法。
一つ一つの根幹はそれほど難しくないことがわかりました。
難解とされているのは薬機法と景品表示法の相乗作用です。

例えば、海外で日本では聞いたことのない斬新な効能を謳っている商品があり、あなたはそれをビジネスチャンスとして国内に持ち込み、海外の宣伝を流用し販売したとします。それは法律違反です。
本当に今までにない斬新な効能があるのであれば化粧品の定める効果を逸脱し薬機法違反となるためです。では、逆に実は斬新な効果がなかったとしましょう。それも法律違反です。
斬新な効果が無いのにあるように見せたこと。商品を実態以上に良く見せているため景品表示法違反となります。

ここで重要なことは、この2つの規制の相乗効果は、実際の商品がどんな効能を持つのかは関係がないことです。商品に付随する何らかの情報が56の効能を超えると消費者に受け止められた時点で、薬機法と景品表示法の搦手のような連動で法律違反になります。

たとえ今日、どこかでノーベル賞級の大発見があって化粧品の技術や効能に革新が起こったとしても、この相乗効果がある限り56の効能効果の逸脱は認められません。十分にご注意ください。

まとめ

薬機法と景品表示法の根幹は56の効能効果にあることをご理解頂けましたでしょうか。
なかなか柔軟性の無い規則ではありますが、これらの規制があるからこそ、私達は安心して化粧品を選択でき、そして日本製の化粧品は海外からも高い評価を得られています。だからこそ、全ての会社がこれらの規制を守る努力を継続してゆかなければなりませんね。

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