COLUMN
 

指定医薬部外品(内用)と機能性表示食品の違い

基礎知識

季節の変わり目はとかく体調を崩しやすいものですが、皆さまいかがお過ごしでしょうか。体調管理は健やかな生活を送るために欠かせないものです。
先ずは栄養バランスの取れた食生活、そしてもし不調になってしまった時は、適切な治療が大切です。
前者は野菜や魚等の生鮮食品、後者は医薬品が先ず思い浮かびそうですが、他にも、保健機能食品等の健康食品を普段の食事と組み合わせたり、医薬部外品で早めの予防に努めたりと、今日の私たちには様々な選択肢があります。

当社でも、ヘルスケア商品へのお問い合せを日々頂戴しますが、とりわけ強く関心を寄せていただくのが、「機能性表示食品」と、以前にも取り上げたことのある「指定医薬部外品」の内、保健薬等の内用の物です。
そして特に多いのが、この二つには似通ったところがあって、どちらを商材に選べばよいかわからないという声です。今回は、共通項の多い両者の特徴を掘り下げてみます。

一見すると“あまり違いがない” 機能性表示食品と内用の指定医薬部外品(保健薬)

機能性表示食品は、あくまで「食品」なので、大まかに言えば、訴求できるのは健康の維持・増進のための栄養の補給です。
つまり、健康な人が健康なままでいるために摂取する物です。一方の指定医薬部外品は、あくまで「医薬部外品」なので、大まかに言えば、主に訴求できるのは〇〇(不快な症状等)の防止です。
つまり、健康な人が不健康にならないようにするために摂取する物です。各々の摂取する目的が、“健康の維持”と“不健康の予防”ですから、そもそも大差がないものです。

それに加えて、今日では、錠剤やカプセルのような形状は、医薬品だけに限らず、数多の健康食品でも許容されています。
また、以前は口から摂取する物と言えば食品か医薬品のどちらかに限られていましたが、現在では内用の指定医薬部外品※が存在します。
機能性表示食品等の保健機能食品は、身体への影響をある程度なら言及することができますし、指定医薬部外品には栄養補給や体調改善を目的とした物(保健薬)が複数存在します。

※内用の指定医薬部外品の例 摂取目的
健胃薬 胃のもたれ、食欲不振、食べ過ぎ、飲み過ぎ等の諸症状の改善
整腸薬 腸内環境(細菌叢)を整え、腸運動を調節
消化薬 消化管内の食物等の消化促進
瀉下薬 (腸内に滞留・膨潤することによる)便秘等の改善
ビタミン含有保健薬 ビタミン、アミノ酸その他身体の保持等に必要な栄養素の補給
カルシウム含有保健薬 カルシウムの補給
生薬主剤保健薬 虚弱体質、肉体疲労、食欲不振、発育期の滋養強壮等
ビタミン剤 肉体疲労時、中高年期等におけるビタミンの補給
カルシウム補給剤 妊娠授乳期、発育期等におけるカルシウムの補給
ビタミン含有保健剤 滋養強壮、虚弱体質等の改善及び肉体疲労などの場合における栄養補給

消費者目線、または広告主目線で両者を比べてみると、感覚的には違いがあまりないことに気づきます。

視点を変えれば“ここが違う!” 機能性表示食品と内用の指定医薬部外品(保健薬)

ですが、開発者、或いは製造者目線で両者を比べてみると、やはり似て非なる物です。このわずかにも思える違いを粒立てて、訴求ポイントとして価値を見出すかどうかが、商材選びの鍵になるかもしれません。
先ず、機能性表示食品の監督官庁は「消費者庁」で、所定の「届出」を行い、長官に「受理」されることで、製品を世に出すことができます。
一方で指定医薬部外品の監督官庁は「厚生労働省」で、所定の「申請」に対して大臣から「承認」を得ることで世に出すことができます(一部、承認権限が当道府県知事に移譲されているものもあります)。
前者はいわゆる“形式審査”なので、書類の体裁に不備が無ければ原則受理されますが、後者は書類の記載事実や科学的な検証内容の妥当性まで“個別審査”がされ、可否が判断されるものです(とはいえ、消費者庁の審査基準は非常に厳しく、高確率で不備の指摘があるとも言われています)。
機能性表示食品も、指定医薬部以外品も、身体への作用について言及した訴求ができますが、その程度は異なります。機能性表示食品が言及できるのは、注目する成分によって“元々健康な人が、健康なままでいられる”ことを“期待する理由”(=機能性)までで、病気や治療のニュアンスを表現することはできません。
一方、指定医薬部外品は、「効能・効果」という言葉と共に、具体的な症状を記述することができます。また、指定医薬部外品では、注目する成分については「有効成分」、摂取するタイミングや回数は「用法・用量」という呼称を用いて表現できるのに対し、機能性表示食品では前者が「機能性関与成分」、後者が「摂取目安量」と置き換わります。
あくまで「食品」である機能性表示食品は、いつ、どのくらい摂取するかが消費者の自由選択に委ねられるため、限定的な表現ができません。
機能性表示食品の機能性関与成分は、食品の範囲内であれば、一部の典型的な栄養素(たんぱく質、食物繊維、ビタミン類等)を除くほぼ全ての成分がなり得る可能性を秘めていますが、対して、指定医薬部外品の保健薬で有効成分になり得るのは、ビタミン類、アミノ酸類、カルシウム、一部の生薬等に限定されます。
また、機能性表示食品の商品名は、一般食品や雑貨と同様に、既存商標に触れない限り、基本的には自由に付けることができますが、指定医薬部外品を含む医薬部外品の商品名は、販売名同様に、日本語を主体とすること、特定の配合成分名を入れないこと等の制約があります。

比較POINT 機能性表示食品 指定医薬部外品(保健薬)
形状 錠、カプセル、顆粒、ドリンクetc. 錠、カプセル、顆粒、ドリンクetc.
摂取目的 健康の維持(のための栄養補給) 不快・不健康な状態の予防
監督官庁 消費者庁 厚生労働省
行政手続き 届出/受理(許可)<形式審査> 申請/承認 <個別審査>
主な規制法規 食品表示法、健康増進法 薬機法
製品化までの期間 半年~数年 半年~数年
身体への作用の訴求例 本品には〇〇が含まれます。〇〇には、腸内環境を良好にする機能があると報告されています。
本品に含まれる〇〇には、日常生活で生じる身体的な疲労感を軽減する機能が報告されています。
【効能・効果】整腸、便通を整える、腹部膨満感、便秘、軟便(腸内細菌叢の異常による症状を含む)
【効能・効果】滋養強壮、虚弱体質、肉体疲労・病中病後(または病後の体力低下)等の場合の栄養補給
訴求対象成分の呼称 機能性関与成分 有効成分
使用方法の表現方法 摂取目安量 用法・用量
訴求対象成分の範囲 食品の範囲でほぼ全ての成分に可能性あり ビタミン、アミノ酸、Ca等一部に限られる
商品名 消費者への誤認誘導や、既存商標への抵触、公序良俗に反しない限り基本的に自由 ・特定効能効果や特定成分名を含む名称NG
・アルファベットや記号はなるべく少なく

あとがき

いかがでしょうか。訴求可能な表現の強弱という点ではやや指定医薬部外品に分があるものの、表現の自由度という点では機能性表示食品にも大きな魅力があります。
どちらの商材も天真堂が鋭意、企画・製品化のお手伝いをさせていただきますので、ご興味をお持ちいただけましたら、是非お問い合せ下さい!

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