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化粧品の成分について ~入門編:品質と安全性~

COLUMN 事業計画

前回は、化粧品の成分の中でも配合量が多いベースとなる成分、基材(主に水が多い)や保湿成分、油性成分、界面活性剤について紹介しました。
今回は、製品の品質や安定性等に関わる成分についてご紹介します。
配合量は少ないですが、消費者が安全に使用していくうえで重要な成分とも言えます。

①高分子

クリームや乳液等の粘度を出すためや感触向上、乾いた時に膜を作ったり(皮膜形成)、保湿といった様々な目的で配合します。
高分子は古くから使用されている原料で、使用感や安定性をよくする目的で配合されていましたが、近年では非常に多くの高分子が開発され、より良い使用感や変わった使用感を作り出したり、機能性を高めたり等、多岐にわたって配合されています。
一般的によく使用されている成分は下記になります。

・カルボマー
・キサンタンガム
・ヒドロキシエチルセルロース
・PVA
・(アクリレーツ/アクリル酸アルキル(C10-30))クロスポリマー類

②防腐剤

化粧品を微生物から守る役割があります。
化粧品には、アミノ酸や糖類等、カビや微生物のエサになる成分が使われます。
もし、微生物が混入し、繁殖すると、製品が変質し肌トラブルの原因になります。
長期間安定した品質を保持するために防腐剤の添加が必要になります。
一般的によく使用されている成分は下記になります。

・メチルパラベン
・エチルパラベン
・フェノキシエタノール

③酸化防止剤

酸素によって酸化しやすい成分の酸化を防ぐ役割があります。
化粧品には、油性成分であるロウ類や油脂、界面活性剤や香料等、酸素によって酸化しやすい成分が多く配合されています。
これらの成分が酸化すると、においや色、性質が変化、変質し、肌に悪影響を与えます。
酸素による品質に劣化を防止するために酸化防止剤の添加が必要になります。
一般的によく使用されている成分は下記になります。

・トコフェロール類
・BHT(ジブチルヒドロキシトルエン)
・BHA(ブチルヒドロキシアニソール)

④キレート剤(金属封鎖剤)

金属イオンによって化粧品の劣化や品質低下を防ぐ役割があります。
カルシウムイオンや鉄イオンといった水の中に含まれるミネラル分=金属イオンは、ごく微量でも化粧品の中に混在すると、油脂の酸化を促進し変臭や変色させたり、他の化粧品の成分と結合し作用を阻害したり、沈殿を生じさせることがあります。
上記のような金属イオンの働きを無力化するためにキレート剤の添加が必要になります。
一般的によく使用されている成分は下記になります。

・EDTA-2Na(エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム)
・ポリリン酸Na

⑤pH調整剤

化粧品のpH(ペーハー)を調整する成分です。
pHとは、物質の酸性からアルカリ性までの度合いを示す基準数値で、0~14の数値で表します。7を中性として、0~7を酸性、7~14までがアルカリ性です。
人間の肌は、pH4.5~6.5に近い弱酸性と言われています。
pH4.5~6.5から数値が離れるほど肌刺激が強くなります。
そのため、化粧品のpHを調整する必要があります。一般的によく使用されている成分は下記になります。

・水酸化K、水酸化Na
・クエン酸、クエン酸Na
・TEA

まとめ

化粧品の品質や安定性を保つために多くの成分が関与していることがお分かりいただけたでしょうか。
近年は次々と新しい成分が開発され、ここではまだまだご紹介しきれなかった成分が多くあります。
何の目的で入っている成分なのか、これまでとは違った視点でパッケージの成分表をみるのも面白いと思います。

 

 

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