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化粧品の規制について~入門編:容器~

基礎知識 事業計画

化粧品の規制を紹介するコラムの第4回目です。
今回は化粧品の容器に関する規制を紹介してまいります。

一般的に容器と聞いて皆さんはどのような物を思い浮かべますか?
紙のもの、樹脂のもの、ガラスのもの…というように、多くの種類がありますよね。
多様な容器の中で、どのような容器が化粧品に使用されるのでしょうか?

容器に求められる3つの要素

化粧品に使用される容器は素材ではなく“実力主義”で判断されます。
具体的には、次の3つの要素を同時に満たす容器でなければなりません。

・中身(化粧品)の保護ができること
・快適な使用感であること
・所有欲を満たすデザインであること

この3要素を同時に満たすことができない容器は、
どれほど高価な素材であっても化粧品の容器には不向きです。
今回はこの3要素と規制の関係についてのお話です。

1、中身(化粧品)の保護ができること

容器において中身(化粧品)の保護に関わる規制はありません。
無いというより、作ることができなかったと言ったほうがいいかもしれません。

例えば、ゴム風船にレモンの皮汁をかけると溶ける豆知識をご存知ですか?
ゴム風船(樹脂)とレモンの皮に含まれる成分の構造が非常に似ていることから馴染みあい溶けてしまう現象です。

ゴム風船は海洋汚染の原因の1つに数えられてしまうこともあるほど分解されにくい物質なのに、
どこにでもある天然のもので溶けてしまうなんて不思議ですよね。

このように物質には相性があります。
安定した素材を容器にすれば良い容器が得られるというものではありません。
容器とは、多くの経験則と慎重な試験を重ねた上で選択されるべきものであるため、
物事をYESとNOにわけるだけの規制では到底カバーすることができないのです。
ゆえに規制はなく、会社として、または商品としての責任範囲に任されています。

とはいえ規制が無いことは自由と同意義ではありません。
市場からの評価を受ける根本的かつ最も重要な部分です。
注意を怠ることのないように気をつけましょう。

2、快適な使用感であること

使用時の快適さにも規制はありません。
快適さを数値化することができないこと、そして化粧品の多様性を守るために
あえて規制は設けないことにしているためです。
しかしながら、快適な使用感でない化粧品をリピートする顧客は存在しません。
くどいようですが、安易な選択をしないように心がけましょう。

3、所有欲を満たすデザインであること

エンドユーザーの所有欲をくすぐり、商品を手に取って貰えるかどうかを大きく左右するのが容器デザインです。
これについては「化粧品の適正包装規則」という規制が存在します。
化粧品の適正包装規則は昭和51年に施行された法律で、過大包装を禁じています。
古い規制ですが、エコが注目を集めている現代人の感覚にも馴染みやすい規制といえます。

適正包装規則は大きく内装(直接化粧品にふれる容器)外装(ダンボールや化粧箱など)について定めています。

①内装(直接化粧品にふれる容器)に関する規制

容器の容積に対する内容量の割合は40%以上であることが定められています。
ただし、次の2点に該当する製品は例外的に30%以上です。
・プレス製法又はプレスアンドブロウ製法によるガラス製の容器及び成型技術上二重成型が必要なプラスチック容器であって、内容量が30gを超え40g以下のもの
・図のような容器の形態上肉厚となることがやむを得ないもの

特殊な形態にデザインされた香水またはオーデコロンかメークアップ化粧品、
または30g/mL以下の製品は過大包装削減の努力義務が課されています。
数値規制はありません。

②外装(ダンボールや化粧箱など)に関する規制

内装と外装の間に不必要な空間があってはならないと定められています。
また、ダンボールは厚さ4mm以下であることとされています。

香水、オーデコロン、メークアップ化粧品のうち コンパクトレフイル、
眉目化粧料詰替等の製品は 過大包装削減の努力義務が課されています。数値規制はありません。
上記の規制・努力義務を満たしたうえで、ブランドイメージやコンセプトに合った容器デザインを選択しましょう。

まとめ

以上が化粧品容器についての規制です。
あまりにも規制が無さ過ぎて拍子抜けしてしまったかもしれませんね。
しかし、化粧品に触れる人間が忘れてはならないことがあります。
物体と物体が出逢えば雨が降れば土に染み込むように、
水に触れれば手がふやけるように、影響を与え合うものなのだということです。
中身を安全に使いやすい状態のままで保護する化粧品の容器は、ある意味で言えば自然の摂理に反するものです。

それゆえ、多くの研究や実績によらなければ適切な容器を選択することは困難です。

天真堂では、様々な試験を行い、お客様の容器選択のサポートをしています。
ご興味があれば弊社営業までご連絡ください。

次回は容器に記載すべき法定表示について紹介してゆきます。

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